AI音楽時代、作曲と同じくらい考えたい【音の防災】
どうも、久我レイジです。
ドラマを作っていると、音楽が必要になります。
主題歌、挿入歌、BGM。
作品の感情を動かす場所には、だいたい音楽があるんですよね。
セリフだけでは届かない空気。
映像だけでは押し切れない余韻。
その最後の一押しを、音楽が担ってくれることがあります。
だから僕は、音楽をただの素材だとは思っていません。作品の印象を決める、大事な表現のひとつです。
ただ、生成AIが発達してきた今、音楽にもその影響はかなり大きく出ていると感じています。
今は、メロディ、歌詞、アレンジ、仮歌、BGMのアイデアまで、AIを使って形にできる時代になってきました。便利なのは間違いありません。個人でも、以前よりずっと早く音のイメージを作れるようになった。これはかなり大きい変化です。
でも、その一方で、これからのクリエイターにとって大事になってくるのは、「どう作るか」だけではなく、「作ったという事実をどう残すか」だと思うんです。
自分で作った曲を、ドラマの主題歌や挿入歌として使う。
あるいは、誰かに作ってもらった曲を作品に使う。
今後は、AIを使って音楽のアイデアを出す人も増えていくと思います。
その時に、曲がいつ作られたのか。
誰が作ったのか。
どのバージョンを、どの作品に使ったのか。
このあたりを曖昧にしたまま進めてしまうと、あとから説明できなくなる可能性があります。
たとえば、自分が時間をかけて作った曲が、ある日どこかで「これ、何かに似ていませんか?」と言われる。
あるいは逆に、自分より後に出た音源の方が先に広まってしまう。
その時に、「いや、僕の方が先に作っていました」と言える材料が何もない。
これ、けっこう怖い話だと思うんです。
今までは、音源を公開して、SNSに投稿して、YouTubeに上げておけば、それがある種の証明になっていた部分もありました。
でも、AIで音楽を作る人が増えるほど、似た雰囲気や近い構成の音源に出会う場面も増えていくかもしれません。
だからこそ、「この曲はいつ存在していたのか」を、感覚ではなく記録として残しておく意識が必要になってくる。
たとえば、JASRACが提供するKENDRIXのように、作った音源の存在を記録したり、類似している可能性のある音源を確認したりできる仕組みも出てきています。
ざっくり言えば、「この音源は、この時点で存在していました」と記録しておける仕組みです。
さらに、既存の音源と似ている可能性があるかを確認できる機能も追加されています。
もちろん、こうした仕組みを使えば、すべての権利リスクが消えるわけではありません。
類似性チェックで問題が出なかったからといって、「絶対に大丈夫」と言い切れるものではないですし、著作権侵害の有無を確定するものでもありません。
あくまで、確認するための材料のひとつ。
最終的には、人間の確認や、場合によっては専門的な視点も必要になると思います。
ただ、それでも大きいのは、作った音源をきちんと記録し、公開前に確認するという意識が、個人クリエイターにも広がっていくことです。
何か問題が起きてから慌てて調べるより、作品に使う前に記録を残しておく。これだけでも、未来の自分を少し守れると思うんです。
これはプロの作曲家だけの話ではありません。
個人で音楽を作る人だけの話でもありません。AIを使って曲のアイデアを出す人、YouTubeやショート動画で音源を扱う人、そして僕のように映像作品やメタバースドラマを作っている人にとっても、かなり現実的な話になってきています。
だからこそ、便利になった時代ほど、音楽を「なんとなく使うもの」にしてはいけない。
これは、音楽制作の話というより、これからのクリエイターに必要な“音の防災”なのかもしれません。
作品を守るというのは、誰かを疑うためだけではなく、自分の創作をちゃんと未来に残すための準備でもある。
これからのクリエイターは、作る力だけではなく、作ったものをどう証明し、どう管理し、どう守っていくか。
作品を作るだけではなく、その作品がちゃんと残っていける状態まで考える。
これからの創作は、たぶんそこまで含まれていくんだと思います。



「作る」だけでなく「残す・守る」までが創作なんですね。大AI時代だからこそ、今回の視点を頭に入れさせて頂きます。
「音の防災」という表現、好きでした。
AI時代って、“作れる人”より、“残せる人”が強くなる場面がありますね。
創作が自由になるほど、管理能力まで作者性に含まれていく感じがあります。