AI動画が進化して、僕は個人クリエイターのIPを本気で考え始めた
個人クリエイターの物語は、資産になるのか
どうも、久我レイジです。
AI動画の進化を見て、僕は少しワクワクした。でも、それ以上に少し怖くなった。
最近、Seedance 2.5に関する投稿を見かけて、最初はまたAI動画の性能が上がったのか、くらいの感覚で眺めていました。
4K出力や30秒動画生成という言葉を見ると、たしかにすごいとは思います。少し前まで、数秒の動画が破綻せずに動くだけでも驚いていたのに、今では映画のワンシーンのような映像をAIで作れる時代になりつつある。
ただ、僕が本当に気になったのは、そこではありませんでした。
目に止まったのは「IP登録」という言葉です。
あくまで現時点で見かけた情報をもとにした話です。詳しい仕組みまでは分かりませんし、実際にどこまで機能するのか、どんな形で運用されるのか、個人クリエイターにも現実的に使えるものになるのか。
そのあたりは、期待だけで語らず慎重に見た方がいいと思っています。
それでも、この言葉にはかなり大きな意味があるように感じました。
僕は普段、メタバースドラマを作っています。脚本を書き、キャラクターを作り、世界観を組み立て、clusterというメタバース空間の中で物語を形にしているので、AI動画の進化は単なる新技術のニュースとしては見られません。
なぜなら、映像を作る力が誰にでも開かれていくほど、次に問われるのは「そのキャラクターは誰のものなのか」「その世界観は誰が育ててきたものなのか」という部分になるからです。
これまでのAIは、画像を作ることも、動画を作ることも、音楽を作ることも得意になってきました。けれど、その作品の奥にあるキャラクターや世界観を、どう守り、どう積み上げ、どう資産として残していくのかについては、まだ曖昧な部分が多かったように思います。
だからこそ、AIで作品を作れても、それが単発の映像で終わってしまうことも多かった。
見た瞬間はすごい。けれど、次の日には忘れられてしまう。
これはAI作品に限った話ではありませんが、映像のクオリティだけで勝負する時代は、かなり早い段階で限界が来ると思っています。
なぜなら、高品質な映像を作れること自体は、これからさらに多くの人に開かれていくからです。
その時に差が出るのは、どんなキャラクターを育ててきたか、どんな物語を積み上げてきたか、その世界観を見た人がまた戻ってきたいと思うか、という部分なのだと思います。
もしIP登録という考え方が本格的に広がるなら、価値を持つのは動画生成能力そのものではなく、キャラクターや物語、世界観やブランドといった、時間をかけて育ててきたものになるのかもしれません。
これが本当に進むなら、個人クリエイターにとってはかなり大きい話です。
大手企業だけがIPを持つ時代ではなく、個人や小さなチームが作ったキャラクターや作品も、きちんと管理され、将来的には収益分配の対象になる可能性がある。もちろん、そこまで実現するには課題も多いでしょうし、現時点で「そうなる」と断定するのは危険です。
それでも、方向性としてはかなり面白い。
僕自身、メタバースドラマ『クロスロード』を作りながら、ずっと考えていることがあります。
作品は一度公開して終わりではないし、キャラクターも一回登場させたら完成ではありません。世界観も、設定資料を書いた瞬間に価値が生まれるわけではなく、何度も見てもらい、何度も語り、何度も触れてもらう中で、少しずつ誰かの記憶に残っていくものだと思っています。
そこまで積み上げて、ようやく作品は「ただのコンテンツ」から「戻ってきたくなる場所」になっていく。
AI動画が進化すればするほど、映像を作るハードルは下がっていきます。これは間違いなく素晴らしいことです。今まで映像制作が難しくて諦めていた人も、自分の物語を形にできる可能性がある。
ただし、その一方で「作れること」だけでは、価値を保ちにくくなっていく。
だからこれからは、どのAIを使っているかよりも、何を積み上げてきたのかが問われる時代になるのかもしれません。
キャラクターを一回きりの素材として使うのか、それとも時間をかけて育てるのか。世界観をその場限りのネタで終わらせるのか、それとも何度も戻れる場所にしていくのか。
その差は、これからもっと大きくなる気がしています。
だから僕は、AI動画の進化を見て、ただ便利になるとは思えませんでした。むしろ、これからは作る人間の覚悟がより見える時代になるのかもしれない、と感じています。
誰でも作れる時代になるからこそ、何を守り、何を育て、何を残したいのかが問われる。
現時点では、Seedance 2.5のIP登録がどこまで実現するのかは分かりません。それでも、もし本当にIPが重視される時代に向かうなら、最後に残るのは派手な技術だけではなく、時間をかけて育ててきた物語なのかもしれません。
そしてそれは、メタバースドラマを作り、Project Aliveという世界観を育てている僕にとって、かなり希望のある未来だと感じています。


